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駒の話シリーズ 64:猿駒引き

 

 山陽新聞によると、岡山大学埋蔵文化財調査研究センターは2013523日、岡山市北区鹿田町の鹿田遺跡で、奈良時代(8世紀後半)の井戸跡から絵馬2枚が4月中旬に出土したと発表した。

 この2枚の絵馬の内の1枚は「猿駒引き」(猿が馬を引く図)で、他の1枚は「牛」であった。「猿駒引き」図は横23cm、縦12cmで木版に墨で描かれ、鞍、鐙が明確に確認できる。「牛」図は横21,5cm、縦2,3cmで墨書きであるが、牛車を引く飾り帯が赤い彩色で表現されている。

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 鹿田遺跡は弥生時代から中世まで続く集落遺跡であり、特に平安時代は藤原氏の荘園であった。井戸跡は4基あり、絵馬以前に土師器高杯(古墳時代初頭)、「專」や「玉」の文字が書かれた墨書土器・須恵器(8世紀後半~9世紀)や人形に似た斎串(平安時代)、曲物(平安時代)、白磁碗(平安時代後期)、牛頭蓋骨(平安時代後期)なども発掘されている。

 この2枚の絵馬の用途であるが、研究グループによると絵馬以外に赤く塗られた土師器が正位置に置かれていたことから、井戸を埋める際の祭祀的な行為に使用されていたようだ。

 絵馬の来歴や発掘事例などは駒の話その20で紹介しているが、古いのは前期難波宮(645686年)出土の36枚である。猿と馬のかかわりは「馬屋と猿」(駒の話その38)と「馬と猿の怪しげな関係」(駒の話その54)で紹介している。猿引きの古い資料は「融通念仏縁起絵巻」(清凉寺本 1423年頃)である。

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